更新日:
2026/3/4
投稿者:
横山 洋介

「医師の負担を減らしたいけれど、具体的にどうすればいいのか分からない」
「医師事務作業補助者の配置要件や、最新の点数改定の動向を知りたい」
医師の働き方改革が急務となる中、このような悩みを抱える医療機関の経営者や実務担当者の方は多いのではないでしょうか。
この記事では、医師事務作業補助者の基本要件から、2026年(令和8年度)改定で注目される「DX特例(生成AIや動画の活用)」による増収シミュレーションまでを網羅的に解説します。
医師事務作業補助体制加算には、要件の厳しさによって異なる点数が設定されています。ここでは、加算の全体像を理解した上で、評価が高い加算1と加算2の違いについて解説します。
イ 15対1補助体制加算 | 1,070点 |
ロ 20対1補助体制加算 | 855点 |
ハ 25対1補助体制加算 | 725点 |
ニ 30対1補助体制加算 | 630点 |
ホ 40対1補助体制加算 | 530点 |
ヘ 50対1補助体制加算 | 450点 |
ト 75対1補助体制加算 | 370点 |
チ 100対1補助体制加算 | 320点 |
イ 15対1補助体制加算 | 995点 |
ロ 20対1補助体制加算 | 790点 |
ハ 25対1補助体制加算 | 665点 |
ニ 30対1補助体制加算 | 580点 |
ホ 40対1補助体制加算 | 495点 |
ヘ 50対1補助体制加算 | 415点 |
ト 75対1補助体制加算 | 335点 |
チ 100対1補助体制加算 | 280点 |
加算1と加算2の最大の違いは、一定の診療実績と、経験年数を持つスタッフの配置割合です。より高い点数である加算1を算定するには、年間の緊急入院患者数が一定数(75対1や100対1の区分では50名以上、その他の多くは100名以上など)必要です。
さらに、「3年以上の医師事務作業補助者としての勤務経験を有するスタッフが5割以上配置されていること」が必須要件となります。経験者の定着を評価する仕組みとなっているため、この経験年数要件を満たせない場合は加算2を算定することになります。
参照:医師事務作業補助体制加算の施設基準 – 令和6年度診療報酬改定 | ナレティ
今後の改定動向において最も注目すべきは、DXを活用した人員配置基準緩和の特例です。特例の必須条件である生成AIの導入や、1.2人・1.3人計算の仕組み、最新の導入効果の事例について詳しく解説します。
特例を受けるための絶対の必須条件は、「生成AI(文書作成補助システム)の導入」です。 退院時要約(サマリー)、診断書、紹介状などの医療文書の原案作成を支援するシステムを導入する必要があります。 医師や補助者の文書作成業務を組織的に効率化することが、特例適用の大前提となります。

実際に国立大学病院では、生成AIの活用により退院サマリーの作成時間が1件あたり1時間から20分へと66%削減されたという報告もあり、労働時間の短縮に高い効果を示しています。
参照:(令和7年度第13回) 入院医療等の調査・評価分科会 【別添】資料編③|中医協
人員配置を実人数以上に換算できる特例には、「1.2人」と「1.3人」の2つの計算方法があります。
「1.2人」計算は、医療クラーク1人を1.2人とみなすもので、生成AIの導入と、セキュリティガイドライン等に適合したICT運用体制を遵守することで成立します。
「1.3人」計算は、1.2人要件に加えて、「医療文書用音声入力システム」「RPA(業務自動化)」「患者向け説明動画」のいずれか1つ以上を活用することで成立します。 ここで注意すべきは、「動画だけを導入しても特例の対象にはならない」という点です。生成AIの導入がなければ人員配置の緩和は一切認められず、動画はあくまで「追加評価要素」となります。
DX特例を活用すると、医療機関には具体的な経営メリット(増収)が生まれます。
たとえば、「病床数50床、年間新規入院患者数1,000人、平均在院日数18日」の急性期病棟のモデルケースで試算します。現状のスタッフ数(常勤1.5名)では「40対1(495点)」の区分しか取れない場合でも、DX特例(1.3人計算)を活用すれば上位の「30対1(580点)」へランクアップできる可能性があります。
患者1人につき85点の差額が生じるため、これを年間新規入院患者1,000人で計算すると、年間約85万円の増収が見込めます。
国がこうした加算や特例を推進する最大の狙いは、医師の働き方改革に伴うタスクシフトの推進です。 2008年の制度創設時、この加算はおもに大学病院や総合病院といった大規模病院を中心に導入されていました。
しかし現在では、有床診療所や回復期リハビリ病棟、療養病棟などの中小規模の医療機関でも算定可能となっています。急性期病院だけでなく、中小規模の病院やクリニックへも幅広く普及させ、勤務医の負担軽減を図ろうとする国の意図が明確に表れています。
参照:中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第|厚生労働省
(令和7年度第13回) 入院医療等の調査・評価分科会 【別添】資料編③|中医協
医師事務作業補助体制加算を取得するには、スタッフの研修実施や実績要件、専従の規定など、いくつかの厳格なルールを守る必要があります。ここでは、算定に欠かせない3つの重要要件を解説します。
医師事務作業補助者を配置してから6ヶ月間の研修期間内に、32時間以上の基礎研修を実施することが必須です。 研修内容には、医師法や医療法、個人情報の保護、電子カルテシステムの知識などが含まれます。業務を行いながらの職場内研修(OJT)もこの32時間に含まれます。
参照:7の2 医師事務作業補助体制加算の施設基準 - 令和6年度診療報酬改定
加算1を取得するためには、年間の緊急入院患者数などの診療実績が必要です。 たとえば、15対1補助体制加算では年間800名以上の緊急入院患者数や特定の拠点病院であることが求められます。それ以外の区分でも、年間100名以上(75対1や100対1では50名以上)などの明確な基準が設けられています。
医師事務作業補助者は、医師事務作業に「専従」する職員でなければなりません。 複数の非常勤職員による常勤換算で配置人数を計算する場合でも、それぞれのスタッフが専従であることが求められます。また、看護職員が兼務することは禁止されています。
そもそも医師事務作業補助者とはどのような職種なのでしょうか。ここでは、医療事務との違いや制度が誕生した経緯、そして明確に定められている禁止業務について解説します。
医師事務作業補助者は、文字通り「医師の事務作業を代行・サポートする」職種です。
医療事務が主に窓口での受付や会計、レセプト請求を担当するのに対し、医師事務作業補助者は医師をはじめ看護師や検査技師などの医療関係職との関わりが深いです。 最大の違いは、必ず「医師の指示の下」で業務を行う点にあります。
参照:今、医療現場で求められている 「医師事務作業補助者」とは?|医師事務の資格講座なら日本医療事務協会
医師事務作業補助者は、勤務医の負担軽減を目的に誕生しました。 医師の長時間労働が問題視される中、2008年度の診療報酬改定において「医師事務作業補助体制加算」が創設されました。
これを機に専門の職種として全国の医療機関へ普及し、現在では働き方改革の要として期待されています。
医師事務作業補助者は医師の負担軽減に特化した職種であるため、施設基準によって明確な禁止業務が定められています。代表的な禁止業務は以下の通りです。
医師以外から指示された業務
窓口・受付業務
レセプト(診療報酬)請求事務
医療機関の運営・経営のためのデータ収集業務
看護業務の補助(物品運搬など)
上記の業務を行わせることは算定要件を満たさなくなるため、明確に区別する必要があります。
医師の働き方改革推進の流れが止まることはないため、医師事務作業補助者の役割はますます重要になっています。
記事では、加算1と2の違いや禁止業務といった制度の基本から、2026年改定で注目される最新のDX特例までを解説しました。特に、生成AIやICTツールを活用した人員配置の特例(1.2人・1.3人計算)は、人員不足の解消だけでなく、算定区分のランクアップによる増収(経営メリット)にも直結します。
自院の状況に合わせた最適な人員配置と、最新ツールを活用した業務効率化の検討を進めていきましょう。
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