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看護師の離職率を下げる対策|制度より効く「人間関係」の現場改善

看護師の離職率を下げる対策|制度より効く「人間関係」の現場改善

更新日:

2025/11/25

投稿者:

横山 洋介

看護師の離職率を下げる対策|制度より効く「人間関係」の現場改善

-- この記事は、弊社ノウハウ記事のコンテンツ制作・編集ポリシーに沿って制作されています。 --

「人材紹介会社の電話が鳴り止まない」

「採用しても、半年もしないうちに辞めてしまう」

検索すれば「給与アップ」「制度充実」という記事ばかり出てきますが、資金力に限りがある中小・民間病院が、大病院と同じ土俵で戦うのは困難です。

本記事では、教科書的な制度論ではなく、定着率が良い組織が実践している「人間関係のチューニング」と「泥臭い現場改善」について、採用担当者の視点で解説します。「構造的な不利」を直視し、負の連鎖を断ち切るヒントを持ち帰ってください。

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その紹介手数料、いつまで払い続けますか?

人が辞めない」採用は、給与条件だけでなく、自院の「リアルな空気」や「人間関係の温度」を正しく伝えることから始まります

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まずは現状把握:看護師の離職率が高い病院の「構造的特徴」

対策を打つ前に、まずは敵(現状)を知る必要があります。 「うちの離職率が高いのは、私の採用ミスではないか…」と自責の念に駆られている担当者様も多いですが、実は病院の「構造」そのものが離職を招きやすいケースも多々あります。

データで見る離職率の現実(平均と推移)

日本看護協会の調査(「2024年 病院看護実態調査」)によると、正規雇用看護職員の全体の離職率は11.3%です。 これを内訳で見ると、新卒の離職率は8.8%にとどまっている一方で、既卒(中途採用者など)の離職率は16.1%と高い水準で推移していることが分かります。

これは、100人の組織であれば毎年11〜12人が辞めていく計算になります。特に、高い紹介手数料を払って採用した「既卒(即戦力)」が定着せずに流出してしまっている現状が、データからも如実に読み取れます

日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」結果(2025年3月31日)

出典:日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」結果(2025年3月31日)

しかし、現場の実感として「平均以上に人が定着しない」と感じるなら、まずは以下のチェックリストを見てください。

【離職リスクが高い「構造的」チェックリスト】

  • [ ] 民間経営である(公立のような潤沢な予算がない)

  • [ ] 病床数が100床未満、またはクリニックである(異動による配置転換ができない)

  • [ ] 都市部・駅チカである(半径5km以内に競合医院が5件以上ある)

  • [ ] 院長と現場の間に「総務部長・事務長」のようなクッション役がいない

もしチェックが2つ以上つくなら、あなたの病院は構造的に「人が辞めやすい」環境にあります。 大病院と同じ戦略(給与や設備)で戦っても勝ち目はありません。規模が小さいことを逆手に取り、「人間関係の密度」や「風通しの良さ」といったソフト面(目に見えない資産)を武器にする戦略への転換が必要です。


教科書的な「既存の取り組み」を再点検する

ここでは、一般的に離職対策として挙げられる手法について、単なる紹介ではなく「なぜ導入しても効果が出ないのか?」「どう運用すれば意味があるのか?」という実務的な視点で解説します。

制度の導入と運用のギャップ

【福利厚生】院内保育所と育児支援

ママさん看護師の定着において、院内保育所は強力な武器です。しかし、「箱(施設)」を作っただけでは離職は止まりません。

  • 失敗パターン: 保育所はあるが、子供の急病時に師長が「また? 忙しいのに…」という顔をする。

  • 成功パターン: 「お互い様だから早く行ってあげて」と背中を押す文化がある。

ハードウェア(保育所)があっても、ソフトウェア(職場の空気)が追いついていなければ、制度は形骸化し、逆に不満の種になります。

【メンタルヘルス】ストレスチェック制度の活用

常時50人以上の事業場で義務化されているストレスチェック。これを「年1回の事務作業」にしてはいけません。

採用担当者が注目すべきは、個人の結果よりも「集団分析」の結果です。 「外科病棟だけ極端に高ストレス判定が多い」「特定の部署だけ『上司の支援』の項目が低い」といったデータは、パワハラや過重労働のシグナルです。離職が発生してから動くのではなく、このデータを元に「あの部署、最近荒れているかもしれない」と先回りして介入することが、本来の活用法です。

【待遇・ICT】給与是正と業務負担の軽減

ICT(電子カルテ、勤怠管理等)による残業削減や、給与の見直しは重要です。 しかし、これらはあくまで「不満をゼロに戻す施策」であり、積極的に「この病院が好きだ」と思わせるプラスの要因にはなりにくいことを理解しておく必要があります。

待遇改善以外で、もっと根本的に応募を増やしたい」という方は、以下の記事で支度金制度などの具体的な採用戦略を解説していますので、あわせてご覧ください。「医療機関の採用戦略|成功の鍵は「求職者視点」|支度金制度や採用手法まで


なぜ、対策をしても辞めるのか?現場を蝕む「隠れた原因」

給与も相場並み、残業も減らした。それでも人が辞めていく。 その原因は、求人票には書かれない「目に見えない領域」に潜んでいます

採用面接の前に勝負はついている(Webと「地域」の口コミ網)

多くの採用担当者は「面接で自院の魅力を伝えよう」と努力します。しかし、残念ながら面接に来る時点で、求職者の心証は決まっていることが少なくありません。

特に地方や郊外では、Web上の口コミ以上に、看護師同士のリアルな横の繋がりが強力です。 「あそこの病院、給料はいいけど看護部長がパワハラ気質らしいよ」「あそこはやめておけ」といった情報は、驚くべき速さで地域に回ります。

ネガティブなバイアスを持った状態で入職した看護師は、少しでも嫌なことがあると「やっぱり噂通りだ」と確信し、早期離職を選びます。Web口コミへの誠実な返信や、退職者への丁寧な対応をおろそかにしてはいけない理由はここにあります。

離職率が低い組織ほど「なぜ定着しているか」答えられない

私たちが定着率の良いクリニックの話を聞くと、面白い共通点があります。 「離職対策で何をしていますか?」と聞いても、「特に何もしていません」という答えが返ってくるのです。

これは対策をしていないのではなく、「風通しの良さ」や「心理的安全性」が空気のように当たり前に存在しているため、言語化できないのです。

  • 「院長に冗談が言える」

  • 「困った時に誰かがすぐ声をかけてくれる」

こうした「空気」作りを無視して、制度だけを整えても、現場の離職は止まりません。


【事例】組織の命運を分けるキーマン:「潤滑油」か「お局」か

小規模・民間病院において、組織の空気を決定づけるのは「仕組み」よりも、たった一人の「キーマン」の存在です。

組織の命運を分けるキーマン:「潤滑油」か「お局」か

最強の離職防止策は「潤滑油」となる人物の存在

定着率が高い現場には、必ず院長とスタッフの間を取り持つ「クッション役」がいます。 院長の奥様が現場に入っているケースや、創業時からいるベテラン事務員などがその典型です。

彼らは、トップダウンの言葉を現場に届ける際、以下のような「翻訳」を行っています。

▼ 院長が「なんでこんなミスをしたんだ!」と怒った時

× 潤滑油がいない場合(直撃): 師長「院長が激怒しています。なんであんなミスしたの? 反省書書いて」 → 看護師「もう辞めたい…(萎縮と反発)」

○ 潤滑油(奥様等)がいる場合(翻訳): 奥様「院長、期待してた分、ガッカリしちゃったみたい。言い方はキツイけど、次は頼むよって裏で言ってたわよ」 → 看護師「次は挽回しよう(反省と納得)」

このように、事実を歪めずに「感情」をフィルタリングする機能が組織にあるかが重要です。もし不在なら、師長や事務長が意識的にこの役割を担う必要があります。

新人を孤立させる「お局」問題への正しい処方箋

逆に、離職の元凶となりやすいのが、排他的な雰囲気を作る古株スタッフ(いわゆる「お局」)の存在です。

ここで重要なのは、彼女たちを排除(解雇)する必要はないということです。彼女たちも長年組織を支えてきた功労者であり、即戦力です。 問題なのは、院長や上層部が「辞められると困るから」と彼女たちの顔色を伺い、新人が理不尽な扱いを受けても見て見ぬふりをすることです。

離職率改善に必要なのは、人員整理ではありません。 「新人の意見も尊重しよう」「それは言い過ぎだ」と、院長や上層部が「新人を守る防波堤」としての姿勢を見せることです。 「この職場は、新しく入った私を守ってくれる」という安心感こそが、定着への第一歩です。


採用担当者が直面する「壁」を乗り越えるアクション

現場の課題は見えても、「上層部が予算をくれない」「理解がない」という壁にぶつかる担当者も多いでしょう。ここでは現実的な交渉術をお伝えします。

離職コストと投資の比較天秤

紹介手数料の「痛み」を「投資」への説得材料にする

「採用サイトや組織改善に数百万も出せない」という上層部には、「損失額」を数字で突きつけるのが最も効果的です。

年収450万円の看護師を人材紹介で採用すると、手数料は約100〜130万円。年間3人が短期離職すれば、それだけで300〜400万円が消えます。 「この垂れ流している手数料の半分を、定着のための組織改善や自社サイトに使いませんか? その方が確実に資産になります」 というロジックは、経営者の心に響きます。

看護士の人材紹介手数料については、「看護師の人材紹介手数料の相場はいくら?手数料の仕組み、背景まで」でも解説しています。合わせてご覧ください。

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その紹介手数料、いつまで払い続けますか?

人が辞めない」採用は、給与条件だけでなく、自院の「リアルな空気」や「人間関係の温度」を正しく伝えることから始まります

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今すぐは無理でも「来期の予算」に種をまく

それでも、高齢の理事長などは急な変化を嫌います。 その場合、「今すぐやりましょう」ではなく、時間軸をズラして「来期の予算計画に少し入れてみませんか?」と提案してください。

半年〜1年かけて、他院の成功事例や離職コストのデータを少しずつインプットし、「来期ならいいか」と思わせる。この粘り強い「種まき」こそが、優秀な事務長・採用担当者の腕の見せ所です。


まとめ:明日からできる「行動」を変える小さな一歩

離職率対策に、明日すぐ効く特効薬はありません。しかし、担当者の行動一つで「空気」を変え始めることはできます。

院長・管理職への「翻訳」を意識する

現場からの「人が足りない」「給料上げて」という不満を、そのまま院長に伝えてはいけません。 「現場が疲弊しており、このままだと〇〇万円分の採用コスト(離職)が発生するリスクがあります」と、経営リスクの言葉に翻訳して伝えてください。これが経営層を動かすコツです。

違和感を放置しない「声かけ」の文化

面談室での改まった面談よりも、廊下ですれ違いざまの「最近どう?」の一言が重要です。 表情が暗い、挨拶の声が小さいといった「違和感」を放置せず、声をかける。その積み重ねが、スタッフにとっての「居場所」を作ります。

まずは「共有」から

離職率対策は、泥臭い人間関係のチューニングこそが、小規模・民間病院が勝ち残る唯一の道です。

ぜひ一度、信頼できる師長や現場のリーダーにこの記事を共有(転送)してみてください。 「うちの病院、これ(潤滑油不足やお局問題)に当てはまってないかな?」 そのたった一つの問いかけが、組織の空気を変えるきっかけになるはずです。

この記事を書いた人

横山 洋介

2020年セカンドラボ入社。Webメディアのグロース支援が得意。医療福祉製品比較サイトやウェブサイト運営で培ったノウハウで、医療福祉事業所の集患・採用課題の解決をサポートしています。

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