病院やクリニックのホームページは、患者様への情報提供だけでなく、信頼獲得や集患において非常に重要な役割を担っています。一度制作・公開すれば終わり、と思われがちですが、実は公開後も継続的な「保守運用」が欠かせません。特に医療機関の場合、作りっぱなしで更新されていないホームぺージが散見されますが、適切な保守管理はクリニックの信頼性やセキュリティの観点から極めて重要です。「ホームページの管理って何をすればいいの?」「保守運用にはどれくらい費用がかかるの?」といった疑問をお持ちの事務長様やシステム担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。ウェブ管理を片手間で行っているため、専門的な部分はよく分からない、という声も耳にします。この記事では、病院・クリニックのホームページ保守運用に焦点を当て、なぜ必要なのか、どのような作業が含まれるのか、費用はどのくらいかかるのかなどについて、分かりやすく解説します。※この記事は、一部工程でAIを利用していますが、必ず人力の編集・構成作業を行っています。病院・クリニックのホームページ保守がなぜ重要なのか?病院・クリニックのホームページ制作が終わり、公開されてほっとする方もいらっしゃるかもしれませんが、公開してからがスタートです。ホームぺージは技術的な環境変化やセキュリティ脅威に常にさらされています。そのため、訪問者が安全かつ快適に利用できる状態を維持するためには、継続的な「保守」作業が不可欠です。公開後も保守が必要な理由ホームページが公開された時点は、あくまでスタート地点に過ぎません。インターネットの世界は常に変化しており、使用しているシステムやブラウザ、連携サービスは日々アップデートされていきます。これらの変化に対応するためには、継続的なメンテナンス作業が必要です。適切な保守を行わないと、以下のようなリスクが発生する可能性があります。保守を怠るリスク①|検索順位の低下リンク切れや表示速度の遅延、セキュリティ問題などが放置されると、検索エンジンからの評価が下がり、検索結果で上位に表示されにくくなります。当然、集患にも影響が出ます。2014年にGoogleは「ランキング シグナルとしての HTTPS」の中でHTTPS(SSLと同義)のサイトがアルゴリズム上優遇される旨を発表しています。ランニングコストを気にするあまり、SSL対策をしていない医療機関のホームぺージは多いですが、将来の患者様の目に止まる機会を減らしてしまっているともいえるのです。参考:Google検索セントラルブログ ランキング シグナルとしての HTTPS保守を怠るリスク②|企業イメージ・ブランディングへの悪影響古い情報が放置されているサイトは、訪問者からの信頼を得られません。特に医療機関の場合、体調不良やけがなどネガティブな心理状態で検索されることがほとんど。ホームぺージの最低限の管理が行き届いていないと、緊急時に選ばれることはないと言って良いでしょう。これらのリスクを回避し、ホームページを健全な状態に保つためには、定期的な保守作業が不可欠です。クリニック・病院のブランディングについては、「ブランディングで地域から選ばれるクリニックに!集患・経営安定を成功させる方法を徹底解説」でも解説しています。参考にしていただければ幸いです。ホームページの保守管理に含まれる具体的な作業内容ホームページの保守管理には、サイトの安定稼働とセキュリティ維持のための様々な作業が含まれます。主に以下のような内容が挙げられます。ドメイン・サーバー管理ホームページの公開には、「ドメイン」(インターネット上の住所)と「サーバー」(ホームページのデータを置く土地)が必要です。これらは通常、年単位で契約するため、契約期間が終了する前に更新手続きと費用の支払いが必要です。ドメインやサーバーの所有権を自社で持つことが、後々の管理会社変更や移転をスムーズに行う上で重要とされています。SSLサーバー証明書の更新・管理SSL(Secure Sockets Layer)とは、インターネット上でのデータ通信を暗号化する仕組みです。これにより、第三者によるデータの盗聴や改ざんを防ぎます。特に個人情報や予約情報など機密性の高い情報をやり取りする医療機関のサイトでは必須です。SSL証明書にも有効期限があり、定期的な更新が必要です。SSL化されていないサイトは、ブラウザで「保護されていない通信」と警告が表示され、訪問者に不安を与えます。 CMSのバージョンアップ・メンテナンス多くのホームページで利用されているCMS(コンテンツ管理システム)は、定期的に機能追加やセキュリティ上の脆弱性対応のためにバージョンアップが行われます。CMS本体だけでなく、追加で導入しているテーマやプラグインの更新も重要です。ワードプレスでは、手軽にプラグインを追加できる反面、プラグインの更新が滞ってしまいセキュリティ的に脆弱性が出てしまうことが多いです。セキュリティ対策(マルウェア対策、脆弱性修正)ホームページは、不正アクセスやマルウェア(悪意のあるソフトウェア)感染の脅威に常にさらされています。保守作業には、サイトの脆弱性チェック、マルウェアスキャンと除去、WAF(Web Application Firewall)などのセキュリティ機能の導入・管理、不正侵入監視などが含まれます。予算の限られる小規模事業所では最低限のセキュリティ対策から始めれば大丈夫です。大規模病院では、専門業者に依頼してセキュリティ環境を構築するのがおすすめです。バックアップと復元万が一、サイトがサイバー攻撃を受けたり、システム障害や操作ミスによってデータが破損・消失したりした場合に備え、サイトデータの定期的なバックアップが必要です。バックアップデータがあれば、問題発生時にサイトを元の状態に復旧させることが可能になります。不具合・障害発生時の対応(トラブルシューティング)ホームページが表示されない、特定の機能が動かない、デザインが崩れている、お問い合わせフォームが送信できない、といった予期せぬ不具合やシステム障害が発生した場合に、迅速に原因を特定し、復旧作業を行う必要があります。緊急時の対応体制(ヘルプデスクサポートなど)が保守契約に含まれているか確認しておくと安心です。最新ブラウザや端末への対応パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットなど様々なデバイスから、Chrome、Safari、Edgeなどの多様なブラウザを通じてホームページは閲覧されます。これらのブラウザや端末は日々進化しており、新しいバージョンに対応できていないと、サイトのデザイン崩れや表示不具合が発生する可能性があります。訪問者がどの環境からアクセスしても適切に表示されるよう、定期的に互換性を確認し、必要に応じて修正作業を行います。ホームページの運用に含まれる作業内容ホームページの「運用」は、サイトを公開してから集患や問い合わせ獲得といったビジネス目標を達成するために行う活動全般を指します。保守が「守り」の作業だとすれば、運用は「攻め」の作業。病院・クリニックの運用には、主に以下のような内容が挙げられます。コンテンツの更新・修正・追加(テキスト、画像など)最新の診療情報や休診日のお知らせ、医師の変更、新しい医療設備導入、キャンペーン情報など、ホームページの情報を常に新鮮かつ正確に保つことは、患者様への信頼獲得と利便性向上に不可欠です。テキストの修正や画像の差し替え、新しいページの追加といった作業が含まれます。アクセス解析とレポート作成Googleアナリティクスなどのツールを使用して、ホームページへの訪問者数、どのページが多く見られているか、どこからアクセスしてきたか、といった情報を分析します。アクセス状況を把握することで、サイトの課題や改善点が見えてきます。分析結果に基づき、月次や四半期ごとにレポートを作成し、サイト改善の方向性を検討します。SEO対策(リンク切れ修正、速度改善、キーワード対策など)SEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索エンジンで貴院のホームページが上位表示されるように行う様々な施策です。具体的には、サイト構造の最適化、キーワード選定とコンテンツへの組み込み、ページの表示速度改善、リンク切れの修正、モバイル対応(レスポンシブデザイン)の確認 などが含まれます。SEO対策は継続的に行うことで、検索結果からの安定的な集患を目指せます。Web広告運用リスティング広告(検索結果の上部に表示されるテキスト広告)やディスプレイ広告(Webサイトやアプリに表示される画像・動画広告)を活用して、特定の患者層に効率的にアプローチし、ホームページへのアクセスや問い合わせを増やす施策です。広告の出稿設定、予算管理、効果測定、改善策の実行などを行います。病院・クリニック向け|ホームページ保守費用の相場と内訳ホームページの保守費用は、委託する制作会社や契約内容、サイトの規模や機能によって大きく異なります。ここでは、一般的な費用相場と内訳について解説します。クリニックのホームページ制作費用については、「クリニックのホームページ制作の費用はどのくらい?目的別の価格相場、選び方」でも解説しています。参考になれば幸いです。保守費用の全体像ホームページの保守費用は、基本的に「維持・管理」のためのランニングコストと考えられます。自社で対応する範囲が多いほど費用は抑えられますが、その分手間と専門知識が必要になります。一方、制作会社に委託すれば、専門的な作業を任せられる安心感がありますが、その分費用は高くなります。自社で管理する場合の費用相場と内訳自社でサーバー・ドメイン契約やCMS更新、簡単なコンテンツ更新などを全て行う場合の費用相場は、月額5,000円以下が目安です。必要となる費用は、サーバー費用やドメイン費用、SSL証明書の費用といった最低限のランニングコストのみです。ただし、バグ対応やセキュリティ対策、CMSのアップデートなど、専門的な知識が必要な作業が発生した場合は、自社に対応できる人材がいなければ別途費用が発生するか、適切な対応ができないリスクがあります。制作会社に委託する場合の費用相場と内訳制作会社にホームページの保守を委託する場合、サービス内容に応じて費用が変動します。一般的な相場は月額5,000円〜100,000円程度ですが、マーケティング支援なども含めるとこれを超えることもあります。ただし、初期費用を格安で提供して、月額ランニングコストを高めに設定しているHP制作サービスもあります。その場合は、下記表の内容に当てはまらないこともあるので、都度確認するようにしましょう。月額内容特徴数千円〜5,000円・最低限の維持管理(サーバー、ドメイン、SSL証明書の管理・更新代行)サイトコンテンツの修正・更新や障害対応は含まれない5,000円〜20,000円・上記内容・コンテンツの軽微な修正作業(月に数回程度、または決められた作業時間内)・CMSのアップデートやバックアップ、簡単な障害対応・医療機関向けでは一般的な価格帯・大幅なリニューアルや新規ページの追加、コンテンツ作成には別途費用が発生することが多い20,000円〜50,000円・上記内容・CMSのメンテナンス、月間レポート作成、障害対応(ハッキング時の復旧含む)などが含まれることが多い・修正費用が全て無料となることも・安心して管理を任せられる・資金に余裕のある医療機関、一般企業向け・本格的な集客コンサルティングは含まれないことが多い50,000円以上・上記対応・売上向上に向けたコンサルティング含む(SEO、コンテンツマーケティング)・制作会社1社に全てを任せるケースや、専門性の高い大手制作会社に依頼するケース※保守と集客支援で委託先を分けるケースもある保守費用の検討が重要な理由ホームページの保守費用を適切に検討することは、健全なホームページ運営のために非常に重要です。費用を抑えすぎて必要な保守がおろそかになれば、セキュリティリスクや表示不具合、検索順位の低下といったデメリットが生じます。逆に、不必要なサービスまで契約してしまうと、無駄なコストが発生します。自社のホームページの目的(情報発信のみか、集患に力を入れたいかなど)や、自社で対応できる範囲、予算を明確にし、それに合った最適な保守体制と費用を見極めることが大切です。ホームページ保守を委託する際の注意点制作会社にホームページの保守管理を委託する際に、後々のトラブルを避けるためにもいくつか注意すべき点があります。保守の範囲と運用体制を明確にする契約書に保守業務の範囲や運用体制が具体的に記載されているか、必ず確認しましょう。どのような作業が保守契約に含まれるのか、どのような作業は別途費用が発生するのか、障害発生時の対応時間や連絡方法、責任範囲などを明確にしておくことが重要です。サーバーとドメインの所有権ホームページの基盤となるサーバーとドメインは、自社で所有することが強く推奨されます。所有権が制作会社にある場合、契約終了後や会社変更時にドメイン移管やサーバー移転がスムーズにできないといったトラブルが発生する事例があります。特に、開業時に知人やフリーランスにホームページを作ってもらい、サーバー・ドメインも管理してもらっている場合は、早めに情報を共有してもらいましょう。万が一業者が廃業してしまった場合でも、ドメインとサーバー情報があれば、業者を乗り換えることができます。複数の制作会社から見積もりを取る複数の制作会社から見積もりを取り、費用だけでなくサービス内容や対応範囲を比較検討しましょう。料金帯によってサービス内容が大きく異なるため、複数の選択肢を比較することで、自社にとって最適な委託先を見つけやすくなります。バックアップの重要性委託先の保守内容に定期的なバックアップ作業が含まれているか、必ず確認しましょう。バックアップの頻度や保存場所、復旧までの時間なども確認しておくと安心です。もしバックアップが含まれていない場合は、別途契約するか、自社でバックアップ体制を構築する必要があります。保守と運用を分けて依頼することも検討する制作会社によっては、保守業務は得意だが運用(集患施策など)は専門外、あるいはその逆の場合もあります。特にSEOやWeb広告など、マーケティングに力を入れたい場合は、保守は制作会社に、運用はWebマーケティング専門会社に、と分けて依頼することも有効な選択肢です。それぞれの専門性を活かすことで、より効果的なホームページ運用が期待できます。ノーコードツール「Studio」を使ったホームページ保守・運用のメリット弊社セカンドラボでは、ノーコードWeb制作プラットフォーム「Studio」を使ったホームページ制作をご提供しています。Studioで制作したホームページは、保守運用においても様々なメリットがあります。サーバー設定やSSL対応が不要Studioは、サーバーの設定や管理が一切不要です。HPを公開するだけで、高速で安全な環境が自動で整います。SSL証明書も自動適用されるため、別途契約や更新の手間、費用はかかりません。これにより、サーバーやセキュリティに関する運用・保守の負担とコストを大幅に削減できます。CMSメンテナンス作業が不要CMSを使用している場合、本体やプラグインのバージョンアップはセキュリティや機能維持のために必須ですが、アップデートによる不具合のリスクも伴います。Studioはノーコードプラットフォーム自体が常に最新の状態に保たれるため、WordpressなどのCMSで発生するような、手動でのバージョンアップ作業やそれに伴う互換性問題、メンテナンス費用が発生しません。直感的な操作でコンテンツ更新が簡単Studioは直感的なビジュアルエディタを備えており、HTMLやCSSといった専門知識がなくても、マウス操作で簡単にサイトのデザイン変更やコンテンツ(テキスト、画像、ブログ記事など)の更新、修正、追加が行えます。これにより、お知らせやブログの更新といった日々の運用作業を、専門知識のない院内スタッフ様でも容易に行えるようになり、自社での運用範囲を広げやすくなります。医療機関で作業を内製化しやすいStudioの使いやすさや専門知識が不要な点は、ホームページの一部運用(コンテンツ更新など)を内製化したい場合に大きなメリットとなります。外部に依頼する範囲を減らすことで、保守費用のランニングコストを抑えることも可能です。また、社内にウェブ担当者がいない場合でも、基本的な更新作業であればトレーニングで対応できるようになる可能性があります。セキュリティの取り組みStudioプラットフォーム自体が高いセキュリティ対策を講じています。お客様側で個別のセキュリティ対策プラグインなどを管理する必要がなく、プラットフォーム側で常に安全性が維持されるため、セキュリティ管理の手間を軽減できます。Studioでは、セキュリティチェックシートを公開しています。セキュリティに厳しい上長がいる組織でも、有効に活用できるでしょう。参考:Studioのセキュリティ対策貴院のホームページ保守・運用体制を見直しましょうホームページは、公開してからが本番です。安定した運用と集患目標の達成のためには、適切な保守と運用体制を構築することが重要です。内製化と外注のバランスホームページの保守運用は、全てを自社で行う、全てを外部に委託する、一部を自社で行い他を委託する、といった様々なパターンが考えられます。自社の目的、予算、社内リソース(専門知識を持つ人材がいるかなど)を考慮し、どの範囲を自社で担当し、どの範囲を外部に委託するのが最適か検討しましょう。信頼できるパートナー選び外部に保守運用を委託する場合、技術的なスキルはもちろんのこと、信頼できる制作会社を選ぶことが最も重要です。特に医療機関のサイト保守は、セキュリティや情報管理において高い専門性が求められます。実績が豊富か、丁寧な対応をしてくれるか、契約内容が明確か、といった点をしっかりと確認して委託先を選びましょう。まとめ病院・クリニックのホームページは、公開後も継続的な「保守運用」が必要です。保守はサイトの安定稼働とセキュリティ維持のためのシステム的な管理作業であり、運用は集患などの目的達成に向けたコンテンツ更新やマーケティング活動です。保守を怠ると、セキュリティリスクの増大、サイトの不具合、検索順位の低下、企業の信頼性低下といった様々なデメリットが発生します。ホームページ保守の費用相場は、自社で管理する場合は月額数千円以下、制作会社に委託する場合は月額5,000円〜数万円程度が一般的です。費用は委託範囲によって大きく変動するため、自社のニーズと予算に合わせて最適なプランを選択することが重要です。貴院のホームページを安全かつ効果的に運用するためにも、この機会に保守運用体制を見直してみてはいかがでしょうか。