更新日:
2026/2/20
投稿者:
横山 洋介

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医療機関の書面掲示事項は、原則としてウェブサイトに掲載しなければなりません。新設された「ベースアップ評価料(看護職員等処遇改善)」についても、算定を行う場合はウェブサイトへの掲載が求められています。
移行措置期間は終了しており(2026年2月現在)、多くの医療機関で対応頂いていると思いますが、監査などの対応でホームページの記載を見直さなくてはならないことも多いのではないでしょうか。
本記事では、クリニックに義務付けられる主な掲示項目に加え、最新のベースアップ評価料の扱いや、ホームページでの情報公開について詳しく解説します。また、ホームページに施設基準を掲載する際のテンプレート・見本(コピペOK)もご用意していますので、ぜひご活用ください。
最新制度にもキャッチアップ|25,000の医療福祉事業所の採用支援実績
令和6年度(2024年度)の診療報酬改定で、医療DXを推進する目的で、国は自社ウェブサイトを持っている医療機関、薬局に対して、書面掲示をウェブサイトに公開することを義務づけました。
2025年5月末までの経過措置期間を経て、2025年6月から原則義務化となりました。
※ホームぺージを持っていない医院は対象外

法律でウェブサイト掲載が義務付けられているという理由はもちろん、患者様の安心感向上、医療の透明性確保の観点でも設置が必要です。
義務化された項目 | 義務化の背景 |
|---|---|
個別の診療報酬の算定項目のわかる明細書の発行 | 患者への情報提供の充実 |
「情報通信機器を用いた診療について」記載要件の追加 | 保険医療機関の掲示事項の見直し |
医療情報取得加算 | 医療DXの推進 |
医療DX推進体制整備加算 | 医療DXの推進 |
在宅医療DX情報活用加算 | 医療DXの推進 |
地域包括診療加算(診療料)等 | かかりつけ医機能の評価 |
(外来)後発医薬品使用体制加算 | 後発医薬品の使用促進等 |
一般名処方加算 | 後発医薬品の使用促進等 |
バイオ後続品使用体制加算 | 後発医薬品の使用促進等 |
協力対象施設入所者入院加算 | 介護施設等との連携 |
介護保険施設等連携往診加算 | 介護施設等との連携 |
参照:オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け)
診療報酬改定で院内掲示が義務化される前から、クリニックを含む保険医療機関には、医療法やその他の法令によって、患者さんに対して特定の情報を院内に掲示する義務があります。これらの掲示は、患者さんが安心して医療を受けられるよう、医療機関の透明性を確保し、適切な情報提供を行うために不可欠です。
弊社でお付き合いのある病院・クリニック様の声を聞くと、厚生局の担当者は、実地調査・監査の前にあらかじめ医療機関のホームページを閲覧し、掲示義務に沿った記載がされているかの確認を強めているように感じます。行政の監査で不適切な管理とみなされると、最悪の場合診療報酬の減額などにつながるリスクもあるので、いまのうちに対策しておきましょう。
クリニックには、医療法や保険医療機関及び保険薬局等に関する省令などに基づき、患者さんに対して必ず院内掲示しなければならない事項が数多く定められています。
以下に表でまとめた項目は、患者さんの目に留まりやすい場所に、分かりやすく掲示する必要があります。特に、診療時間や休診日など、受診に直接関わる情報は重要です。また、オンライン資格確認システム導入や医療DXに関する情報も、近年義務化された重要な掲示事項となっています。
項目 | 概要 | 根拠法令等 |
|---|---|---|
診療時間・休診日 | 受付・診療が可能な時間、休診となる曜日・期間 | 医療法、保険医療機関及び保険薬局等に関する省令 |
保険診療の取り扱い | 保険医療機関であることの表示 | 保険医療機関及び保険薬局等に関する省令 |
明細書発行体制等加算 | 明細書を無料で交付する旨 | 特掲診療料の施設基準等 |
後発医薬品の使用 | 後発医薬品を積極的に活用する旨 | 特掲診療料の施設基準等 |
医療DX推進体制整備加算 | オンライン資格確認導入等、医療DXへの取り組み | 特掲診療料の施設基準等 |
法律や規則で義務付けられている掲示事項に加え、患者さんが安心して医療サービスを受けられるように、推奨される院内掲示項目も多数存在します。これらは義務ではありませんが、積極的に情報公開することで、患者さんの信頼獲得や満足度向上につながります。
推奨される主な項目は以下の通りです。
項目 | 概要 |
|---|---|
診療時間・休診日に関する詳細情報 | 午前/午後の受付時間急な休診や時間変更のお知らせ年末年始、お盆などの長期休診期間 |
担当医に関する情報 | 医師の専門分野や経歴非常勤医師の診療日・時間 |
クリニックの特色や取り組み | ・得意とする疾患や治療法 |
支払い方法 | ・利用可能な支払い方法(現金、クレジットカード、電子マネーなど) |
その他 | ・院内Wi-Fiの利用可否 |
これらの情報を分かりやすく掲示することで、患者さんは受診前に必要な情報を把握でき、安心して来院することができます。特に、診療時間や休診日、担当医の情報は、患者さんの受診計画に直結するため、正確かつ最新の情報を分かりやすく掲示することが重要です。

医療機関で、上記の掲示を見たことのある方も多いのではないでしょうか?
2023年4月から、医療機関でのオンライン資格確認の導入・運用が原則として義務化されました。オンライン資格確認とは、マイナンバーカード(マイナ保険証)や健康保険証の情報を用いて、患者さんの医療保険の加入状況や資格情報をオンラインで即時に確認できる仕組みです。
これは、政府が進める医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の一環であり、医療機関側の事務作業の効率化や、患者さん側の利便性向上、より正確な医療情報の共有を目指したものです。
オンライン資格確認について、「オンライン資格確認に必要な端末を紹介|制度詳細や運用の流れまで」でも開設しています。合わせてご覧ください。
院内掲示では、この義務化されたシステムの導入について、患者さんへ分かりやすくお知らせすることが重要です。単に「導入しました」と伝えるだけでなく、患者さんがこのシステムを利用するメリットを具体的に示すことで、安心して利用してもらえるようになります。
具体的に盛り込むべき内容は、次で紹介しています。
オンライン資格確認システムを導入することで、患者さんにも様々なメリットがあります。主な利点は以下の通りです。
メリット | 具体的な内容 |
|---|---|
受付時間の短縮 | スムーズな保険資格確認 |
重複検査・投薬の削減 | 過去の薬剤情報・健診情報の活用 |
安全な医療の提供 | 患者さんの情報に基づいた適切な診療 |
オンライン資格確認システムを通じて取得した患者さんの情報は、個人情報保護法に基づき適切に取り扱う必要があります。このため、院内掲示においても、情報の利用目的や取り扱いについて明確に表示することが求められます。
具体的には、以下の項目を掲示することで、患者さんに安心してオンライン資格確認を利用してもらうことができます。
これらの情報を分かりやすく掲示することで、患者さんの不安を軽減し、信頼関係を築く上で非常に重要となります。
項目 | 記載内容例 |
|---|---|
利用目的 | 過去の診療情報や薬剤情報などを取得し、より適切な診療を行うために利用します。 |
情報の安全性 | 厳重な管理体制のもと、患者さんの個人情報を保護します。 |
患者さんの権利 | ご自身の情報について確認・訂正等を求めることができます。 |
こうした表示を通じて、クリニックが個人情報保護に真摯に取り組んでいる姿勢を示すことができます。

オンライン資格確認(医療DX推進体制整備加算など)も、届け出が必要な施設基準のひとつです。その他の主要な施設基準とサイト掲載のポイントを整理します。
オンライン資格確認の施設基準としては、主に以下の点が求められます。
オンライン資格確認システムの導入
顔認証付きカードリーダーの設置(原則)
レセコン・電子カルテ等との連携(推奨)
セキュリティ対策の実施
これらの基準を満たしていることを、厚生労働省に届け出る必要があります。
施設基準を満たした上で、患者さんに対してオンライン資格確認が導入されていることを明確に伝えることが重要です。その手段の一つとして、医療機関のホームページでの情報公開が推奨されています。ホームページに掲載することで、来院前に患者さんが情報を確認でき、スムーズな受診につながります。
たとえば、神奈川県川崎市の津田眼科では、以下のような表記をしています。
当院では医療DXを推進して質の高い医療を提供できるように体制を整備しています。
https://www.tsuda-ganka.com/notice
2024年(令和6年)6月の診療報酬改定より、医療現場で働くスタッフの賃上げを目的とした新しい評価料がスタートしました。この制度を利用する場合、オンライン資格確認と同様に「院内掲示」および「ウェブサイトへの掲載」が必須要件となっています。
正式名称は「外来・在宅ベースアップ評価料」(病院や有床診療所の場合は「入院ベースアップ評価料」等)と言います。
簡単に言うと、「医療スタッフの給与アップ(ベースアップ)を行った医療機関に対して、その原資の一部を診療報酬として補填・支援する」という制度です。 物価高騰や人材不足が続く中、看護師、薬剤師、事務職員などの処遇改善を行い、人材定着と質の高い医療提供を守ることが目的とされています。
この制度は、複雑な計算式や行政への計画書提出が必要ですが、その分、スタッフにとっては「給与が上がる」という直接的なメリットがあります。
よくある誤解として、「患者さんにスタッフの給与アップ額まで公開しなければならないのか?」という不安の声があります。 結論から言うと、具体的な改善金額(例:月額〇〇円アップなど)を掲示する必要はありません。
地方厚生局へ提出する「賃金改善計画書」には詳細な計算が必要ですが、院内掲示やホームページでは「賃金改善を行っている」という実施の事実を記載すれば要件を満たします。「計算が複雑だから掲示文言も難しそう」と構える必要はありません。
実際に「ベースアップ評価料 掲示」などで検索すると、すでに掲示を始めている多くのクリニックのホームページがヒットします。これら他院の記載ぶりを参考にすることも非常に有効です。
ただし、クリニックによって書き方は千差万別です。「詳細に書きすぎている例」や「非常に簡易的な例」が混在しており、「結局、うちはどう書けばいいの?」と迷ってしまうこともあるでしょう。 迷った際は、後述する「基本テンプレート」を活用してください。最低限必要な要素を網羅しつつ、あらゆるクリニックで使える汎用的な内容にしています。
この評価料は、計算や手続きが複雑なため、導入を迷われるクリニック様も少なくありません。しかし、だからこそ「あえて導入し、掲示を行っている」ことは、貴院の大きな強みになります。
院内掲示やホームページへの掲載は、単なる事務連絡ではありません。 「当院はスタッフの待遇改善に真剣に取り組んでいる」という明確なメッセージとなり、今後来院する患者さんだけでなく、求職者(看護師や事務スタッフ)への強力なアピールになります。外部求人サイトからも見られる公式ホームページにしっかり記載することで、採用活動の底上げにつなげましょう。
ここでは、法定義務である「オンライン資格確認」や「施設基準」に加え、2024年に新設された「ベースアップ評価料」に対応した掲示物・ホームページ掲載用のテンプレートをご紹介します。
内容は貴院の実状に合わせて適宜調整し、コピー&ペーストしてご活用ください。
患者さんに安心してご利用いただくため、単に「導入しました」だけでなく、メリットや利用手順を分かりやすく伝える内容にしています。院内ポスターやホームページのお知らせ欄にご活用ください。
タイトル:マイナンバーカードによる健康保険証利用について
当院は、医療DX推進のためオンライン資格確認システムを導入しております。
◎オンライン資格確認とは? マイナンバーカード(マイナ保険証)や健康保険証の情報を利用し、医療保険の資格情報をオンラインで即時に確認できる仕組みです。
◎患者様のメリット
受付がスムーズに: 顔認証付きカードリーダーで簡単に手続きできます。
より良い医療の提供: 同意をいただければ、過去の薬剤情報や特定健診情報を医師が共有でき、重複検査や投薬を防ぐなど、適切な診療につながります。
手続きの簡素化: 限度額適用認定証の手続きが不要になります(※)。
◎ご利用方法 受付に設置されているカードリーダーにマイナンバーカードをかざしてください。操作方法が分からない場合は、お気軽にスタッフまでお声がけください。
※公費負担医療制度をご利用の方は、引き続き受給者証のご提示をお願いいたします。
「どんな基準を満たしているか」を具体的に説明することで、医療の質をアピールできます。以下は、ホームページの「当院の特徴」や「クリニック概要」ページへの掲載に適した形式です。
タイトル:当院の施設基準と取り組みについて
当院は、以下の施設基準を満たす保険医療機関として届出を行っております。
■ 医療情報取得加算 / 医療DX推進体制整備加算 オンライン資格確認システムを導入し、医師が患者様の薬剤情報や特定健診情報等を診療に活用する体制を整えています。
■ 明細書発行体制等加算 医療の透明性を高めるため、領収証の発行に加え、個別の診療報酬の算定項目が分かる明細書を無料で発行しております。
■ 一般名処方加算 医薬品の供給状況を踏まえ、特定の医薬品名ではなく成分名を記載する「一般名処方」を行う場合があります。これにより、後発医薬品(ジェネリック)を選択しやすくなります。
2024年6月から新設された項目です。計算が複雑な制度ですが、掲示は「実施している旨」だけで問題ありません。 ここでは、「採用PR(求人対策)」としての効果も狙った書き方と、「事務的な報告」にとどめる書き方の2パターンを用意しました。
スタッフを大切にしている姿勢を強調し、求職者への好印象につなげます。
タイトル:医療従事者の処遇改善(賃上げ)への取り組みについて
当院では、質の高い医療を持続的に提供するため、医療従事者の処遇改善(賃上げ)に積極的に取り組んでおります。 これに伴い、令和6年6月1日より、診療報酬改定に基づき以下の加算を算定しております。外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
※貴院が取得している区分に合わせて記載(例:歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)など)
スタッフが安心して働ける環境を整えることで、患者様へより良い医療を提供できるよう努めてまいります。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
最低限の要件を満たす、事務的な書き方です。
タイトル:施設基準の届出に関するお知らせ
当院は、看護職員等の処遇改善(賃上げ)を推進する体制を整えており、以下の施設基準を届け出ています。
外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)
院内掲示やホームページでの情報公開は、単に義務を果たすだけでなく、患者さんの安心と信頼を得るための重要な手段です。次の点に注意して、効果的な情報提供を行いましょう。
院内掲示やホームページ掲載情報は、患者さんが見て理解しやすいように工夫することが非常に重要です。専門用語は避け、平易な言葉で説明するように心がけましょう。
デザイン面では、文字の大きさやフォント、配色にも配慮が必要です。高齢の患者さんや視力の弱い方にも配慮し、読みやすいデザインを意識してください。
文字の大きさ: 16ポイント以上を推奨します。
フォント: ゴシック体など、視認性の高いフォントを選びましょう。
配色: 背景と文字色のコントラストをはっきりさせ、目に優しい配色を選びます。
レイアウト: 情報を整理し、箇条書きや図、イラストなどを活用すると、より分かりやすくなります。
特に、オンライン資格確認の説明や施設基準に関する情報は、患者さんにとって分かりにくい内容も含まれます。視覚的に理解を助ける工夫を取り入れることで、患者さんの疑問や不安を減らし、スムーズな情報伝達が可能になります。例えば、オンライン資格確認のメリットをアイコンで示す、手続きの流れを図解するなどです。
クリニックホームぺージの見やすさに課題を感じていらっしゃる方は、「クリニックのホームページを「見やすく」改善!患者に選ばれるデザイン、集患の秘訣まで」でも解説しています。合わせてご覧ください。
クリニックの院内掲示やホームページに掲載する情報は、常に最新の状態に保つことが非常に重要です。法律や制度の改正、診療時間や担当医の変更、提供サービスの追加など、様々な要因で情報は更新されます。古い情報のままにしておくと、患者さんに誤解を与えたり、不便をかけたりするだけでなく、法令遵守の観点からも問題が生じる可能性があります。
特に、オンライン資格確認に関する情報や施設基準は、制度改正や運用状況の変化に応じて更新が必要になることがあります。例えば、加算の変更や、システム改修に伴う案内などです。
情報の更新を適切に行うためには、以下の点に注意しましょう。
定期的な確認: 掲示物やホームページの内容を、最低でも数ヶ月に一度は確認するルーチンを設けます。
変更発生時の迅速な対応: 診療時間変更や新たな施設基準の追加など、変更があった際は速やかに内容を更新します。
担当者の明確化: 誰が情報の確認・更新を担当するのかを決めておきます。
変更履歴の管理: いつ、どのような情報を変更したかを記録しておくと、後々の確認に役立ちます。
院内掲示やホームページで情報を提供しても、患者さんから内容について問い合わせを受けることがあります。特にオンライン資格確認や施設基準といった専門的な内容については、疑問や不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
こうした問い合わせに対して、クリニックとして適切に対応することが患者さんの安心と信頼に繋がります。
問い合わせ例 | 対応のヒント |
|---|---|
「オンライン資格確認って何ですか?」 | 保険証の代わりにマイナンバーカードで受付ができるシステムであることを説明します。 |
「マイナ保険証を使うと何かメリットがあるの?」 | 過去の薬剤情報や特定健診情報に基づいた、より適切な医療が可能になる点を伝えます。 |
「施設基準って何が書いてあるの?」 | クリニックの設備や体制に関する公的な基準を満たしていることを示すものであると説明します。 |
患者さんの疑問に誠実に対応することで、クリニックへの信頼感を高めることができます。
本記事では、クリニックにおける院内掲示の義務やオンライン資格確認に関する情報提供の重要性について解説してまいりました。短期的に医療機関の負担が増えてしまっている感は否めませんが、国が進める方針にあらがうこともできないので、必要なこととして対応する必要があります。
経過措置期間は終了しており、現在は原則義務化されています。未掲載の場合、厚生局の監査(適時調査)などで指摘対象となる可能性があるため、早急に確認しましょう。
最新制度にもキャッチアップ|25,000の医療福祉事業所の採用支援実績
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